水没HDDカメラからのビデオ復旧(@資料室)
お子様のイベントに・行楽に・旅行にと、大切な思い出を記録するためのホームビデオカメラは、軽くて小型のHDDムービーやSDカードムービーが一般となりつつあります。しかし、以前はカメラが壊れてもテープさえ無事なら!という状況でしたが、高機能なHDDカメラは、記録メディアであるHDDの故障が発生すると、ビデオカメラ自体が起動しなくなるなど、収録されたコンテンツを取り出す事は容易ではありません。が、完全に不可能ではない事もあります。ここでは水没したビデオカメラからのデータ回収について、弊社作業をご紹介致します。
海辺での撮影の際に、誤って水没させてしまったというご相談を頂きました。カメラ自身の電源も入らず、保証期間内ではあるものの、メーカーサポートから修理不可能との回答を受け取ったとの事でした。このハイビジョンカメラ自身は買い替えれば済むものの、記録されていたビデオデータ取り返す事ができません。可能な限りの復旧をご希望との事で、弊社での調査及びデータ復旧作業にご依頼頂きました。
ビデオカメラをお預かりし、カメラ本体の分解とHDDの取り出しを行った所、水没後、かなりの時間が経過している様で、カメラ内部に浸透・混入した海水が乾き、乾いた土・潮やサビが付着している状態でした。本来ですと、乾いている状態は望ましくはありません。水没後、なるべく早い段階でお申し込み頂ければ、データ回収に成功する可能性がより向上します。また、強制的な乾燥は絶対行わないでください。
HDD装置も水没による影響を受けており、外側カバーの金属部分が錆びています。この状態ではPCB(制御基板)へのダメージが考えられる事、そしてHDD内部への海水の浸食により、動作確認のための通電が悪影響になる事が考えられたため、特殊な溶液・設備によるアセンブリパーツの洗浄を、まず最初に行いました(物理処置作業はクリーンルームなどの特殊な設備・作業環境内で行っております)。
ここまでの処置により、スピンドルモーターの動作が可能な状態となったため、内部ヘッド・プラッタ及びサーボ情報の調整を行う事で、残されているデータへのアクセスが可能となりました。このケースでは、比較的HDD装置内部の状況が良好であったため、およそディスクの総容量80%程のデータの回収に成功することができました。
障害発生後・事故遭遇後、可能なかぎり早い処置を行う事で、データ回収に成功する可能性と成果がより向上する場合もございます。お申し込み前の機器の保管については、「水害に遭ったメディアの取り扱いについて」もご確認ください。