資料室 > 消去ファイル復元の仕組み
デジカメのメモリやHDDを誤ってフォーマット、あるいは全消去(全件削除)してしまった場合でも、実際のデータは記録メディア内に残されている場合が多いのです。エクスプローラ・Finder上では表面上「存在しない」状態になっているだけであり、特別の操作をしない限りは、実データはそのまま残されています。本ページでは、メディア・データの論理障害(間違えて削除したファイルの復元、消失したファイル・フォルダの復元、初期化しますか?と表示される様になった、などの症状)からのデータ回収についてご説明しております。
記録メディア内部では、インデックス情報(ファイル・データの所在や属性などを管理する領域)と実データ部は離れた領域に配置されています。通常のファイル消去のみではファイルの属性が「存在しない」事になるだけで、実際のデータに変更が加えられる事はありません(ただし、すでに存在しない事になっているため、記憶領域の有効活用の為に、他のデータの上書きにより完全に無くなってしまう事もあります)。本来は、ディスク内データへのアクセス性能を向上させるための仕組みですが、これを逆手に取ることで、消去データの復元に応用することができます。ファイルのみではなく、消去したパーティションも痕跡が残されている事が多いため、これらを追跡し、アクセスできなくなったパーティションからのデータ回収を行う事もできます。
削除ファイルの痕跡もパーティションもない場合は?
インデックス情報の痕跡からデータが回収できる事が最も望ましいのですが、それら情報が完全に崩壊してしまっている場合、痕跡が全く無い場合でも、まだ方法は残されています。これらのケースの場合、RawRecoveryという、残されている実データの特徴からファイルを抽出する方法があります。実データ部を順にサーチし、弊社テンプレートに合致するデータ部分をファイルとして回収します。弊社では多くのテンプレートを保持していますが、一部業務用アプリケーションをご利用の場合でも、サンプルを幾つか頂ければ、それらを解析し、すぐに対応致します。
通常のデータ回収(サルベージ)作業においても、多くのデータは回収・復旧可能ですが、データによっては著しいファイルの断片化や欠損により正常に開くことができないファイルが存在する場合があります。この様なファイルでも、弊社独自のデータ構造再構築作業にて修復できる可能性があります。カメラRawデータ・ハイビジョン形式の動画ファイルなど、様々な形式に対応可能です(ファイル修復オプションの詳細はこちら)。他社ではここまでの作業は、通常サポートしておりません。
スキャンディスク・ディスクユーティリティでの修復について
データ障害時にOS付属のツール・ディスク修復ユーティリティは、WindowsやMacなどのオペレーティングシステム上のデータ構造の論理的な整合性を修復するためのソフトウェアです。主に障害の原因となったエラー部分を切り捨てる事でディスク全体の修復を行いますが、これらはユーザーデータの痕跡を消去してしまったり、他のデータで上書きしてしまう場合があります。PCの動作不調の改善を目的にこれらツールを使う場合なら正解ですが、行方不明になったデータを復旧するケースには不向きです。
破損ファイルの修復・再構築作業は、断片的なデータを論理的に繋ぎ合わせる作業を行います。本当に必要なデータがディスク修復ユーティリティにより痕跡なく消去される事で、望ましい状態での作業が行えなくなる可能性があります。このため、問題が発生したメディアは、手を加えずにそのままの状態で弊社にご相談ください。すでにツールを使ってしまった場合は、ご相談の際に必ずお知らせください。